【血統読解】シーイズトウショウの17_父ジャスタウェイ_父父ハーツクライ_①帰ってきたトニービン
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【血統読解】シーイズトウショウの17_クロス_ダンディルート - フォンの一口馬主日記Re(関西馬篇)
さてシーイズトウショウの17の祖父母4頭を順次読み解いていきたいと思います。もし彼が未勝利や未出走に終わったら、あまりやる気でなくなるだろうから今のうちやっていこうと思います。
シーイズトウショウの17に一番影響を与えるには、トニービンのそれではないだろうか。ぼくは、そのように推定しています。ぼくの抱いている感覚をより正確に表現すると、『トニービン→ハーツクライ→ジャスタウェイ:「ナスルーラ+ハイペリオン」リレー』といったところか。
シーイズトウショウの17の父ジャスタウェイの血統を読み解くに、Lyphardは、トニービンと似たような動きをしているとして、もう1本『+My Bupers(+サンデーサイレンス+Wild Again)+Blue Double:「北米伝来パワー系スピード」供給というのが鍵になるでしょう。
一方、母シーイズトウショウに関しては、シラオキ系にトウショウ牧場的血を重ねつつ、ノーザンテーストを内包したテスコボーイ産駒のサクラバクシンオーで締めるという日本に定着した風の欧風スピードです。欧血スピードとも違う欧風スピードてところがミソです。
本記事では、その中でもトニービンの話を展開していきます。
アイルランドで生産され、イタリアで走り、やがて凱旋門賞を制したトニービンは、最初はガウッチ会長の持ち馬でしたね。まああの人は、途中で同馬も転売しましたが。
社台グループが権利を取得した後で、JCにお披露目出走したと記憶しています。引退後購入したみたいに、ウイキペディアに書かれていますが。
トニービンは、HyperionのM3×S5×M5、GainsboroughのM4×M5、NasrullahのM4×S5 Prince RoseのS5×S5と4本のクロスがあります。
やはり、目につくのは、HyperionとNasrullahですね。
90年代3強国内種牡馬たち。
ザクマシンガンの撃ち合いの頃に、ビームライフルを持ちだしたかのような『世代1つ超えてきたような極上の切れ味』を誇ったサンデーサイレンス。ぐんと重心が下がるとトップスピードに入り『無尽蔵と誤認するほどに持続する末脚』を備えたブライアンズタイム。
トニービンは、その中間のような脚を使う馬が多かったと思います。だからこそ、この3頭の産駒の争いは、面白かった面白かった。
トニービンの持ち味は、HyperionとNasrullahに裏付けられた、スピードの持続力でした。母父にノーザンテーストを迎えるとその血統構成がうまく強調されて、その末脚が府中で何度も炸裂した訳です。
トニービンは既に亡くなっていますが、血統表のどこかしらにトニービンの血を引く種牡馬や繫殖牝馬は多く、当分の間その名を血統表に見出すことになると思います。
ところがトニービンの直系は、まあ安泰とは言い切れない状況にあると感じます。
ダービー馬ジャングルポケットも最近は種牡馬デビュー当時の勢いはないし、その産駒2頭オウケンブルースリとトウセンジョウダンもそれぞれ、頭数少ないとまだ未知数といったところです。ミラクルアドマイヤを経由したカンパニーもどこまでやれるかですね。ジャングルポケットは、父トニービンに非常によく似た競走馬だったし、かなりよく似た種牡馬です。
ところが、種牡馬としては、ジャングルポケット以上に、トニービンに似た馬がいるというのがぼくの主観です。
そう、ハーツクライ。彼こそが、(種牡馬としての)帰ってきたトニービン、トニービンジャックです。
ハーツクライの母アイリッシュダンスは、その父トニービンから「ナスルーラ+ハイペリオン」を引き継ぎ、似た特徴をするその母父リファールで補強しています。そしてその母母マイビューパーズか北米スピードを供給するという仕掛けとしのみで(まぁ、それも十分意義はありますが)この代は終わっています。
そしてアイリッシュダンスにサンデーサイレンスを配合したのがハーツクライです。
ハーツクライにとって父サンデーサイレンスがどのように働いたか。もちろん全体の高性能化にもサンデーの影響はあるでしょうが、ハーツの血統構成に、あるニアリークロスを成立させる鍵にもなりました。それが見事はまり、ハーツクライは帰ってきたトニービンとなりました。
次回、ハーツクライの 北米資質を見ていきましょう。
【血統読解】シーイズトウショウの17_父ジャスタウェイ_父父ハーツクライ_②君は、リヴォークドという男を知っているか - フォンの一口馬主日記Re(関西馬篇)
へ続きます。